手紙その206

2009年6月1日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090601tega.jpg
貴女は腰が曲がり外出を厭いましたので変わり果てた町の様子は知りませんでした。駅前通りは賑わいなのにシャッターを閉じた舗が多く、櫛の歯の抜ける如。昔の俤はなくなり淋しい町になりました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その207

2009年6月3日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

200906.3tega.jpg
展覧会を兼ねて落合楼村上へ久し振りで参りました。素晴らしかったのは窓の下は谷川の清流と河鹿の声の
大合唱、滾々と昼夜を分たづ湧き溢れる露天風呂付きの静かなお部屋でした。   つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その208

2009年6月4日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090604tega.jpg
昨晩私が泊まっていた伊豆の旅館、落合楼村上の藤の間では、なんと、お部屋の中に露天風呂が付いて一晩中湯舟から滾々と温泉が湧き溢れている贅沢です。温泉好きだった貴女を入れて上げたかったネ。 つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その209

2009年6月5日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090605tega.jpg
今日は病院で例の如、心臓の診察にては異常は無けれども其の後先生は貴女が一周忌になるのではと尋ねるのでした。よく覚えて居ると思いながら、昨今の医者は人情の稀薄なるを思えば彼は名医と呼びたくなりました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その210

2009年6月6日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090606tega.jpg
貴女は腰が曲がり入浴も儘々ならねば今一度、湯の宿で滾々と湧き流れるいで湯の風呂で手足を伸ばし寛ぎたいと口癖でした。其の貴女の思いが叶わず心残りでした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その211

2009年6月8日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090608tega.jpg
御中元の時節です。今は仕事から離れて隠居の身なれど昔から昵懇の方には貴女は格別に気を使い百貨店の型録を取り寄せ、お世話になった方々のお顔を思い浮かべ思案していました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その212

2009年6月9日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090609tega.jpg
西山さんというご存じない方から貴女のホームページにメールを頂戴いたしました。貴女と同じ病気で二年前にお父様を亡くされ、一生懸命の看病でしたのにご家族の方々には心残りが募るでしょう。全国の多くの方がホームページを見ているので心強く思います。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その213

2009年6月10日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090610tega.jpg
貴女が他界してからは娘達が当番で私の身の回りの世話をしにきてくれるので助かります。貴女は喉に良いといってよく飴を舐めていたのを思い出し、ニッキと塩飴を買ってきて貰いました。野菜の行商さんにも、おひねりにして飴を包んでは差し上げて喜ばれました。   つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その214

2009年6月11日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

2009060611tega.jpg
貴女は飴が好きでしたが短気の私はゆっくりと舐めては居られず、口に入れるや噛み砕きカリカリと大きな音が聞こえると、貴女は又悪い癖が始まったネ歯の為によくないと窘められるのですが最後まで辛抱強くシャブってなど到底できません。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その215

2009年6月12日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090612tega.jpg
貴女が旅立ちてから息子のご相伴に預かり再び晩酌のウイスキーを愉しみ居るのです。生来の飲み助ゆえに
度々醜態を曝し貴女が顔を顰めて厭うのも寄る年波の耄碌とならばのりを弁えるので御安心してお休みなさい
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その216

2009年6月13日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090613tega.jpg
新婚の頃に住んでいた部屋が狭く暗いので貴女と私の希望にて床から天井まで硝子張りの燦々と光りの
差し込む明るい家ができたのでしたが或る日、猛烈な台風が吹き荒れ窓硝子が飛び散ったのでした。   つづく
   律子さん
▲ ページトップへ

手紙その217

2009年6月14日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090614tega.jpg
思いもよらぬ台風の猛威で家の硝子が辺りに飛び散り太い鴨居がガラスで鋭く抉られた痕が生々しく凄惨な
光景でした。貴女は別の部屋に居たので幸に助かりました。偶々その時居合わせてガラスが喉に突き刺さったら御陀仏でした。   桑原桑原
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その218

2009年6月15日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090615tega.jpg
甥夫婦が丹精のジャガイモや郷里の名産わさび漬などわざわざ宅急便にて届けてくれました。蒸したての熱いうちバターを塗っては食べるのが貴女は好きでしたね。この頃は裏山に鹿どもが夜な夜な出没しては野菜を食い荒らす。甥は手をやいてるそうです。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その219

2009年6月16日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090616tega.jpg
妙延寺の和尚からお手紙が添えられて揮毫用の団扇を頂戴いたしました。電話や携帯の発達から手紙を出す方が少なくなり毛筆の手紙など無用の長物となりました。  呵呵呵
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その220

2009年6月17日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090617tega.jpg
十五日は貴女の立ち日で梅雨なれど雨にも遭わず貴女は晴れ女です。久し振りで伊勢の寶来亭さんが尋ねて下さりてお線香を焚きて悔やみと思い出話をして帰りました。夜は湯の宿で蛍まつりを楽しむでしょう。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その221

2009年6月18日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090618tega.jpg
梅雨に入ったので爽やかな藺草の花茣蓙を畳に敷きホームページの律子さんへの手紙を書いているのです。
貴女は昔の人に倣って、暑い夏を上手に暮らす達人でした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その222

2009年6月19日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090619tega.jpg
昨晩は凄まじき雷と篠突く雨なれど急に晴れ暑いほどになりました。庭の奥の岩陰は蚊の大群栖ゆえ貴女は厭う所でした。姫笹が蔓延り息子が引き抜いて笹の地下茎でかわゆい盆栽に仕立てました   或る日
律子さん

IMG_0764.jpg
▲ ページトップへ

手紙その223

2009年6月20日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090620tega.jpg
貴女は野に咲く小さな都忘れの花が好きだったのをよく承知しているので、お隣の奥さんからわざわざ自分で育てた矮小で紫の蘭の小鉢を戴きました。在りし日の貴女は四方山話で暫く楽しかったことでしょうね。
   つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その224

2009年6月22日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090621tega.jpg
毎年お隣から到来のエシャロットをわけて貰い貴女と縁側に茣蓙を敷き皮を剥いてお酢と氷砂糖で一年分漬けるのでした。今年から貴女がいないのでお隣の奥さんがわざわざおいしく漬けられたラッキョウを戴きました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その225

2009年6月23日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090623tega.jpg
父の日に子供から祝って貰い当日は楽しき晩酌に預かり贈り物まで戴きましたヨ。貴女は、お互いに達者で
いきましょうと口癖でした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その226

2009年6月24日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090624tega.jpg
孫は小学五年生で書道字塾に通って勉強しているので上達が頗る早く私の方は毎日筆を執りホームページや
律子さんへの手紙など書いて手習いをしているのは年寄りの冷や水と笑われ一向に駄目です。   呵呵呵
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その227

2009年6月25日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090625tega.jpg
愛犬を亡くし淋しがっていた孫娘が犬公の里親探しの募集の抽選に当たり可愛らしい子犬を貰ってきました。名はマロンと呼びスグになつきました。翌日柿廼舎に遊びにきて私が手紙を書いていると吠えもせず退屈なのか傍で眠っているのです。貴女も昔コロというワンちゃんを飼ってました。
律子さん

090623_140423.JPG
▲ ページトップへ

手紙その228

2009年6月26日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090626tega.jpg
東京の妹は今でも貴女が喜びそうな物を選んでは送ってくれるのです。妹は貴女が夢に出てきてお話をしたいがそれ叶えず悲しいと電話で愚痴を零すのです。   つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その229

2009年6月27日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090627tega.jpg
貴女も昵懇だった画材屋のお爺さんが時々下駄履で自転車に乗り遊びがてら尋ねては来るのです。貴女は
筆や絵の具の話を傍で聞いてやるのです。河内屋のお爺ちゃんと呼ばれて楽しそうにして帰るのでした。
   つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その230

2009年6月29日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090629tega.jpg
河内屋のお爺さんは若い頃は銀行員で下町神田周辺の問屋が取引先でした。妹の家も玩具の問屋でお爺さんも近所にいたらしく、その辺の地理にも詳しく袋小路までも覚えていて貴女とお茶を飲みながら昔の話を聞かせて懐かしがるのです。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その231

2009年6月30日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20090630tega.jpg
或る日、私の知らないウイスキーが卓上にのっているので訊いたらば貴女がリザーブという洋酒が新発売されると雑誌で知り早速取り寄せてくれました。飲兵衛の私は如何ばかりか喜んだことでしょう。  つづく
律子さん
▲ ページトップへ