手紙その232

2009年7月1日

By Tohshi


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貴女は或る日、雑種ながらテリアの真っ白い子犬を貰ってきました。顔には前の毛が覆い被っていて犬の目玉が何処にあるのやら分からぬのにワン公君は聊かも不自由ではなく辺りを飛び回り頗る元気でした。
律子さん

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手紙その233

2009年7月2日

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鬱陶しいつゆなので疲れたものか、朝方自分が死んだ夢を見たのです。老衰で苦しくもなく悲しくもないのです。貴女は屡々空を飛ぶ夢をみては翌日、如何にも楽しそうな話を訊かしては笑ってましたネ。
律子さん
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手紙その234

2009年7月3日

By Tohshi


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先日、寺から棚経の通知をもらいました。貴女は新盆なので真菰を敷いてご存じの茄子の牛や胡瓜の馬などを仏壇に飾りて和尚さんの読経とお焼香で久し振りの我が家にお迎えして粗餐で思い出話を語り合いましょうネ
律子さん
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手紙その235

2009年7月4日

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先日は眼医者の診察に行って参りましたが異常は無しとの事なのでなにより安心でした。序でに町の見物を
すると先達ての事のように思っていたらば余りにも変わった町の姿に驚きました。浦島太郎の白い煙の立ち上る白髪の老人の如。
律子さん
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手紙その236

2009年7月5日

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貴女と同じ病気で父上を亡くされ独りぼっちになり寂しく暮らしている方がホームページを見て律子さんへの手紙の展覧会が旅館で催されるのを知りわざわざ宿に泊まり二百通もの手紙をつぶさにご覧になりご感想のお手紙を頂戴いたしました。
律子さん
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手紙その237

2009年7月6日

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昔は梅雨と申せば来る日も来る日も五月雨が降り止まづ鬱陶しく蒸し暑く貴女は洗濯物が乾かず愚痴ばかり
零していました。近頃は天気予報が雨なれども当たらず晴れるのは地球の異変から恐ろしい災害の前触れか
心配で桑原桑原
律子さん
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手紙その238

2009年7月7日

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幼子等の願いを書いた七夕飾りの笹竹はすぐに萎れ短冊ばかり賑やかに風に吹かれてもの悲しそうです。

七夕の
時節や今日も
雨となり
   冬柿
律子さん
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手紙その239

2009年7月8日

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七夕豪雨のようなつゆでは織姫と牽牛が逢瀬を楽しむを見られるのは本当珍しき事です。よしんば、昨晩のように雨が降らずとも雲が低く立ちこめて天の川さえ見えません。
律子さん
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手紙その240

2009年7月9日

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昔の夏の夜は漆黒の空が見渡せて満天の星が瞬めきて天の川も手にとるようでした。近頃は何処の町も不夜城の如く一晩中明るいので余程、辺鄙な田舎に行かねば綺麗な夜空は見られませんネ
律子さん
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手紙その241

2009年7月10日

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或る日、庭師から姫林檎の盆栽を貰ってきました。実に立派な姿です。貴女もこの鉢を育てていましたが
実はせいぜい七個位しか成りませんでした。頂戴した姫林檎はなんと数十個もの実がついているのです。
流石、植木屋さんですネ
律子さん
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手紙その242

2009年7月11日

By Tohshi


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貴女は他界されて今年は新盆のため棚経の仏壇をわざわざ部屋の中央に設え襖も廊下の障子も総て取り外して広々と久し振りで貴女も我が家に帰る支度をしています。   つづく
律子さん
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手紙その243

2009年7月13日

By Tohshi


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孫も朝から来ては精霊飾りを手伝い貴女の遺骨やご先祖の御位牌豪華な生花果物籠を供え御写真の貴女も
うれしそうに笑ってます。軒に盆提灯を吊し、明日は和尚の読経を待つばかり
律子さん
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手紙その244

2009年7月14日

By Tohshi


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盂蘭盆なので貴女の形見分けで貰ったといわれてお隣の奥さんは見覚えのある真っ赤な半袖のセーター姿で
お線香をあげて暫く思い出話に花が咲きました。
律子さん
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手紙その245

2009年7月15日

By Tohshi


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煩い程ではないにしろ、庭の木に蝉が来て鳴き始めました。毎日、猛暑ですがつゆは上がったようですネ。
二百十日の豪雨は必ず到来すると貴女は口癖のように語るのでしたが近頃は時節がずれて来たように思います。
律子さん
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手紙その246

2009年7月16日

By Tohshi


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貴女と一番の仲良しのたつ子さんが新盆と言うので電車やバスを乗り継いでわざわざ尋ねてくれました。
たつ子さんは貴女の前で何度も何度もお線香を焚いては思い出を語りました。昔からの古い友達は本当に良いものです。  お盆のつづき
律子さん
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手紙その247

2009年7月17日

By Tohshi


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先日尋ねてくれた、たつ子さんは脚が丈夫なので出歩くことは全然苦にならぬと仰言っていました。貴女は達者な足で三島の方へ遊びに来てヨと話しているのを電話の傍で聞きました。たつ子さんも冥土まではまだ行けぬと笑うのでしょう
律子さん
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手紙その248

2009年7月18日

By Tohshi


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時代の流れにも乗らず気儘に暮らしたいとの思いから揮毫した条幅の山中無暦の表具が仕上がり今朝届きました。貴女の批評が少々怖いが御笑覧下さい。
律子さん
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手紙その249

2009年7月20日

By Tohshi


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七輪で
秋刀魚焼くナリ
佛の日
   冬柿
佛暁に思ってもいない俳句が頭に浮かびました。それまでに条幅に仕立てて貴女の命日に床に掛ける
つもりです。  或る日
律子さん
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手紙その250

2009年7月21日

By Tohshi


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秋刀魚が出始めるや貴女は庭にでて七輪の火で焼いたジュウジュウ音のするサンマを頂くのがこの時節の愉しみでした。あらかじめ縁側に皿を用意して待ち構え食べましたネ。サンマはたき火に限ると貴女は笑って自慢顔でした。
律子さん
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手紙その251

2009年7月22日

By Tohshi


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この暑い時節にはとりたての新鮮な玉蜀黍を行商のおばさんが朝一番で持って来るのでした。茹でても焼いてもきりもなく美味しいが私は面倒なのでハーモニカをふくようにかぶりつくのですが貴女は一粒一粒を指の腹で丁寧にむしって食べていました。
律子さん
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手紙その252

2009年7月26日

By Tohshi


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行儀の悪い姿勢で手紙を書いているので足首をねんざしてしまいました。手洗いに立つさえ不叶。膏薬を貼り鎮痛剤を服用してひたすら臥床のみ。貴女にお線香を焚くのにも家の者に頼まねばなりませぬ。律子さん
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手紙その253

2009年7月28日

By Tohshi


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夏になると各地では花火大会が催され遠くから見物客で賑わいます。熱海に住んでいた頃、有名な海上花火では近くの砂浜に早くから陣取りして一等席だと貴女と喜んでましたが花火が始まるや耳に劈き、腹を抉られる大音響で這々の体で退散し、懲り懲りです。
律子さん
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手紙その254

2009年7月29日

By Tohshi


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給湯器が不具合となりて、お風呂に入れなくなりました。年月が経ちもう部品も無くなりて修理不能となりました。この家を建てた時からの歴史遺産です。よくも丈夫で長持ちで働いてくれました。貴女は物を大切にする人でした。
律子さん
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手紙その255

2009年7月30日

By Tohshi


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異常気象ゆえ天気予報なども当たらず薄日は射せど夜は雨になるらし。晴れ晴れした夏の炎暑の姿も無く海水浴場などは閑古鳥が鳴いています。もう夏も終わりです。
律子さん
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手紙その256

2009年7月31日

By Tohshi


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故障して使用不能の給湯器は処分して新品に取り替えました。我が家の加茂温泉も久し振りのようです。
天井からは湯気が滴り落ちるハハハノハいい湯だね・・・ドリフ 滾々と湧き溢れる湯の宿の温泉に貴女を今一度入れて上げたいと心残りです。
律子さん
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