手紙その310

2009年10月1日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091001tega.jpg
旅行は奈良辺りへも参りたいと話していました。いよいよ最後の夜になりて先斗町の小料理屋へ上がろうと奨めたら貴女は浪費はいけませんとお財布の紐をとじて帰りも幾ばくかを残しておかねばならぬと倹約ぶりの旅の顛末でした。
律子さん

手紙その311

2009年10月2日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091002tega.jpg
明日は貴女の一周忌の法要を相営みます。東京の妹は足が悪く姪の三姉妹も都合が悪く欠席の由。親戚と子供達と昵懇の寺の和尚御夫婦の読経お焼香が済みたらば粗餐にて在りし日の貴女を偲び想い出を語り合うのです。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その312

2009年10月3日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091003.jpg
今日は貴女の一周忌の法要の日で前日まで激しい雨も嘘の如く止み滞りなく追善の御供養も相済ませました。なお、十五夜に晴れ無しのことわざなれど奇しくも夜には煌々たる満月でした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その313

2009年10月6日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091006.jpg
昔からのお米屋が新米が入りましたと申して持ってきました。この時節になると白菜漬けが一番。御醤油にて御飯が旨い!貴女もこんな他愛もないものが好きでした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その314

2009年10月7日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091007tega.jpg
深まりゆく秋とならば畳の上でじっと座りて筆を執り手習いに励み居るならば朝晩はめっきり冷えて参りました。急いで暖房の絨毯を出して敷いたらばポカポカと温かく助かりました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その315

2009年10月8日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091008tega.jpg
かってない未曾有の大型台風の襲来でラジオが一晩中流しています。我が家では廊下の雨戸を閉ざし酷い風雨を防御しています。早朝にも当地直撃のおそれとか。次第に風が強くなりました。貴女の念力で助けて下さい。   桑原桑原
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その316

2009年10月9日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091009tega.jpg
甥夫婦からとれたての美味しい新米が届きました。鹿の奴が青い葉ばかり食い荒らす狼藉なのにもかかわらず、三俵もの収穫があったというのには初めての素人百姓にては上出来 天晴天晴デス
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その317

2009年10月10日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091010tega.jpg
伊勢の二光堂にその月の異名を揮毫。奉納を致しおらば台風一過にて爽やかなりて筆が趣きて納得の書と相成りました。さぞかし貴女は陰にてほくそ笑んでるでしょう。今年の書は擱筆。又新年の飛躍を祈願。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その318

2009年10月13日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091013tega.jpg
暫く見えなかったと思ったら相変わらず突然に湯の宿の御夫婦が尋ねてくれました。貴女の一周忌に在りし日を偲び思い出を語りました。仏前にて御線香を焚き御懇篤な御香料をも拝掌し感謝申し上げます
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その319

2009年10月14日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091014tega.jpg
先日尋ね下されし折り偉大なる宗教家の松原泰道師が逝去なされたと承りました。享年百三歳とは驚きました。貴女も先生の御講話を直接拝聴致しましたね。私も御遺徳と御長命に肖りたい肖りたい
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その320

2009年10月15日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091015tega.jpg
昨年の今日、貴女は麻酔で意識を戻さぬままに他界したのでした。覚悟はしていたのに報せを聞くとたとえようもなく悲しみがこみ上げて慟哭するばかり言葉にもならず変わり果てた貴女の姿に愕然としてる中で帰宅された貴女に対面したのです。冥福を祈ります。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その321

2009年10月16日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091016tega.jpg
この時節には毎年伊勢から珍しい天然記念物の蓮台寺と申す甘くて美味しい柿を頂戴するのです。上から見ると畏れ多くも菊の御紋章の模様があり恭しく頂戴します。貴女もどうぞ召し上がれ
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その322

2009年10月17日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091017tega.jpg
昨年の今日貴女は帰らぬ人となりて我が家に戻り。その日の貴女の顔を見ると聊かも窶れても居らず今にも話だしそうにして他界した貴女とは思えず早一年も経ちました。然し今もそこら辺から貴女の笑い声が聞こえるような気がします。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その323

2009年10月19日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091019tega.jpg
我が家の上棟式の録画を久し振りに見せてもらいました。高い屋根の上で棟梁の祝詞や口上を申し上げながら東の空へ向かい竹の弓を引きいよいよ餅まきの始まり。大勢の子供や大人も我先に紅白の餅を拾う光景は
今では見ることはありません。貴女も若々しく写っています。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その324

2009年10月20日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091020tega.jpg
深まりゆく秋とならば柿廼舎の柿の葉も黄や紅と斑に染まりました。拂暁には早くも窓を開け放ちお線香を焚き律子さんの手紙を書き始め今日一日のはじまりです。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その325

2009年10月21日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091021tega.jpg
堅牢な広辞苑も古くなり表紙もボロボロに剥がれ補修して使っているのです。各種辞書も破れて頁も散逸した惨めな姿です。孫の電子辞書を借りて使ってみると実に驚きました。余りに便利で手放せません。お陰で重い沢山の辞書は押し入れの中へ姿を消して部屋の中は清々としました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その326

2009年10月22日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091022tega.jpg
各地では紅葉の便りが聞かれるようになりました。やがて家の塀の木樹も紅葉して落葉の掃除が忙しくなり柿廼舎では家のものが柿の葉を拾い集めるのが朝の仕事となりました。貴女はその中で綺麗なものを選んでは差し上げて喜ばれていましたね。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その327

2009年10月23日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091023tega.jpg
深まりゆく秋の夜ともならば晩酌は一段と旨くなりて悪い癖にて何時までも飲んでいるので貴女は御膳が片付かぬと零していました。知らぬ間に再び飲兵衛の癖が頭を擡げ始め反省頻りなのです。然し静かな夜更けには七賢人の箴言も余所に矩を超えるのです。      呵呵呵
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その328

2009年10月24日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091024tega.jpg
未だ幼かった娘の八ミリ映画のフイルムが物置から出てきました。昔のことゆえ無声なれど替わるがわる赤ん坊を抱いては楽しそうにあやしたりいる映像を懐かしく飽きることなく観ているのです。貴女も若々しかったです。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その329

2009年10月26日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091026tega.jpg
今年は喪中にて賀状は遠慮したが来春は如何なる趣向にすべきか貴女は未だ歳の明けぬうちから賀状を書く
習慣は可笑しいと口癖でした。年賀状は新年になってから初硯りにて筆を執るべしと貴女は申してました。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その330

2009年10月27日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091027tega.jpg
或る私鉄が初詣での客に干支の絵馬を進呈する企画を私が担当して二た月も前から絵馬刷りを始めるものの暮のことゆえ仕事が重なり急に慌ただしくなり貴女や子供達をも動員する羽目となり油断すると灸をすえられ反省頻りでした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その331

2009年10月28日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091028tega.jpg
毎年正月には六尺余もある大凧に謹賀新年と揮毫ターミナル駅に掲げるのが恒例となった仕事でした。風が強くならば人間も一緒に飛ばされるので無風でないと運搬できません。その話を娘にしたらば覚えていました。遠い昔の想い出でした。
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その332

2009年10月29日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091029tega.jpg
自然食を奨める或る寺の僧侶が路傍の草でさえも食べられるとの講習があり熱心な貴女は参加したのですが
忽ち我が家の膳に雑草が乗りましたが美味しくもないので降参しました。負けるが勝ち    呵呵呵
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その333

2009年10月30日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091030tega.jpg
貴女は自然食が健康に如何に大切かということに興味を惹かれ熱心に研究していました。白米を玄米に切り替え炊飯器で前の晩に一度炊きそのまま翌朝再び火を入れるのです。この二度炊きは、ふっくらと実に美味しく好評でした。    つづく
律子さん
▲ ページトップへ

手紙その334

2009年10月31日

By Tohshi


LinkIcon■ご感想又は冬柿への手紙はコチラ

20091031tega.jpg
玄米御飯にても炊き方の工夫でこれほど美味しくなるとは驚きました。風味もよく白米はむしろ物足りなくさえ思いました。然し暫くして御寿司が食べたくなり、出前を頼むとやはり御寿司は白米でなければと再び
白い御飯が恋しくなりました。
律子さん
▲ ページトップへ