手紙その335

2009年11月2日

By Tohshi


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軍医でもある作家森鴎外は、軍隊で兵士を白米組と玄米組に分かち暫く、検査をしたらば白米組の数人が脚気になれども玄米組には一人も無く健康との結果でした。玄米食は一番と貴女は肯いていました。この話は鴎外全集にもあります。
律子さん
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手紙その336

2009年11月3日

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昔から茶柱が立つと良いことのある兆しと言われていたが今日は湯呑みの中に立ちました。貴女は暦を見ては一粒万倍の日には必ず楽しい日が有ると信じていて又、屡々到来物が有りホラネと笑っていましたネ
律子さん
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手紙その337

2009年11月4日

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柿廼舎の障子に映る木樹の影絵は止まらず移動しては趣きを変えます。冬の朝の静かなひととき東側の千本格子の窓の隙間から洩れる光の筋が障子に映り刻々と変わるので朝の食卓の貴女は愉しそうでした。
律子さん
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手紙その338

2009年11月5日

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立冬ともならば朝の冷え込みも厳しくなりました。各地では紅葉と一緒に雪の便りも聞かれます。冬の夜など貴女は御布団の中が温かくて有り難いと口癖のように言っては喜んでいました。
律子さん
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手紙その339

2009年11月6日

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毎日三更(子の刻)にては既に起きて貴女への手紙やら墨筆の勉強が習慣となれども神無月とならば急に冷え込みが厳しくなり暖房のス井ッチを入れました。寒いのに痩せ我慢して風邪をひいてはばかばかしく平素から要心要心也
律子さん
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手紙その340

2009年11月7日

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私はだらしなく物を片付けるのが下手で家の中は散らかって自分で疲れるのです。貴女は整理の名人で物は縦のものはタテ横のものはヨコと私の耳に胼が出来るほど聞かされしも遂に治らずじまいでした。 つづく
律子さん
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手紙その341

2009年11月9日

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家の中が散らかり始末に困ると貴女は零せしも物の有りすぎる故にて昔柿廼舎を建てた時は只、松本民芸家具の飾り棚と金具箪笥の一つあるのみ。部屋は精々致せしも五年も経つと暮らしてゆくのに必要な物は要ると申し次第に窮屈になったのです。
律子さん
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手紙その342

2009年11月10日

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日常の暮らしの中では知らぬ間に要りもせぬ身の廻りの物が増えます。便利な時もあるが物が多すぎて探し物などで終いには疲れてしまいます。そんな時は寧ろ品物が少ない暮らしの方が快適だと思うのです。
律子さん
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手紙その343

2009年11月11日

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石蕗の黄色い花が咲いたので拙い俳句を先生に見て貰ったらば、つわぶきの黄の満ちたりし日和かな と、添削して頂きました。自慢にもならぬが私は一向に進歩せずいつまでも月並み俳句なので天国の貴女は笑ってることでしょう。
律子さん
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手紙その344

2009年11月12日

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家の者が山茶花が咲いていると教えてくれるが、わざわざ庭に下りてまで花を賞でるのも甚だ億劫。家事で忙しかった貴女の土弄りなどして遊ぶ姿は余り知りません。
律子さん
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手紙その345

2009年11月13日

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昨今は居酒屋の縄暖簾を潜るのではなく堂々と我が家で家族も一緒にお酒を楽しむのが流行しているとの事。さらにおつまみも自宅で考案したり或いはレシピが一冊の本になり人気を呼んでいるとか。貴女はどんな顔をされるのか?
律子さん
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手紙その346

2009年11月14日

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八十余年も生きているのに貴女も私も鎌倉は不案内でした。車でならば造作もない処なのに東海道を逸れると尋ねるのが甚だ面倒でした。美の壺で鎌倉の路地の紹介を観てゆっくり逍遙したいと思えども残念ながら
叶いません。
律子さん
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手紙その347

2009年11月16日

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狭い熱海の借家から一軒家を見つけて早速移り住みました。私は部屋の中で頬被り火鉢を跨いで寒さを凌ぐ為体。壁の向こうに星空が見えるではないか!貴女も辛抱強い人でしたね
律子さん
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手紙その348

2009年11月17日

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貴女は家の前の塀から顔を出して今度の日曜日に一緒に映画を観に行きませんかと誘われるのが最初のデートでした。その日は外国映画の怪傑ゾロ他愛もない映画なれど暗い館内ではお互いに楽しい想い出となりました。
律子さん
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手紙その349

2009年11月18日

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東京では桟敷の枡席で観戦するほど貴女は相撲好きでした。家のテレビは御夕飯の支度の忙しい頃貴女は贔屓の力士の出番になるや台所から態々顔を出して覗くのでした。    つづく
律子さん
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手紙その350

2009年11月19日

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大相撲の春場所では枡席の貴女も私も相撲見物は二の次にて派手好きな妹は茶屋の若い衆にどんどん料理を
運ばせ力士の取り組みなど余所目に手酌でほどよく私も酩酊時折観る勝負の歓声やどよめきあたりのざわめきも心地よく春場所は華やかで楽しい
律子さん
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手紙その351

2009年11月20日

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今九州場所にては角界で最も小兵で人気者である十両の五枚目磋牙司は当地我が故郷の三島市出身にて伊豆からの相撲取りは初めてゆえ貴女も応援をしてください。
律子さん
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手紙その352

2009年11月21日

By Tohshi


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今日はTVの美の壺で枕がテーマでした。突然で驚いたことには貴女もご存じだった伊勢神宮の禰宜さんで
鮫や杖、枕等のユニークな研究で有名、著書も多数ある矢野憲一先生でした。映像で再びお目にかかり暫く振りでお元気な姿を懐かしく拝見しました。
律子さん
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手紙その354

2009年11月24日

By Tohshi


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孫が書道協会の競書展で特選となりました。貴女は格別に目をかけていたのでうれしいことでしたね。もう少し長生きしていれば良かったのに残念でした。全国の会報誌にて写真入りで載るそうです。近況まで 草々
律子さん
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手紙その355

2009年11月25日

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深夜番組でアメリカ帰りの女性ウエスタン歌手が場違いの湯の町エレジーを上手に歌うのでお便りを番組に投稿したら数日後に放送の中で手紙と私の名前が読み上げられたので音信不通だった義弟が聴いたよ!と電話がありました。貴女はびっくり仰天して喜びました。  つづく
律子さん
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手紙その356

2009年11月26日

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弟は後年病気で全身麻痺となり寝たきりでラジオを聴くのが唯一の愉しみとなり療養の彼は姉の貴女を一番に頼りにしていたので貴女の死去の事は余りに可哀想なので家にては今でも口を噤んでいるのです。
律子さん
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手紙その357

2009年11月27日

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或る晩のこと暗がりの誰もいない御宮の軒先に腰を下ろし貴女と語り私も何を思ったのか突然に大きな声できよしこの夜と歌いました。貴女は本当にお上手ですねとほめられたが、後にも先にもこれが初めてのこと。昔の遠い想い出です。
律子さん
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手紙その358

2009年11月30日

By Tohshi


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やがて師走というのに例年より暖かいと思います。貴女は余所ゆきのお洒落をしてお出かけをするなど滅多に無く一年中普段着にて不平もなくむしろその方が合っていると笑っていました。経済的な人で本当に助かりました。
律子さん
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